めざし女の処方箋

基本ダメダメ女のための緩いブログです。

アスリートに「人格」を求める心理

オリンピックのシーズンになると毎度思うこと。

メダルを獲る位置にいる人って、その「技」ではなく「人格」が話題になってしまうことも多いですよね。

オリンピックはその競技のことを知らない人も沢山見るから、マスコミも技より人格とかが話題になりがちなんでしょうけど。

 

 

私は40代なので、TVで見るアスリートはほとんど私の半分くらいしか生きていない人ばかりです。

けれどもインタビューの時とかの受け答えを聞いていると、なぜ20前後の若者にこの受け答えができる?と思うほどしっかりしたものばかり。

メダルとった時くらい喜びを爆発させて

「いぇ~~い!メダル!!!獲ったでーー!!」

くらい言っても良いようなものですが、たくさんのアスリートが真面目に

「支えてくれた皆さんに感謝です」

「メダルを取れなくて申し訳ない」

など、自分を二の次にしたコメントをします。

 

もちろん「みなさんのおかげです」と言える、人の指導を真っ直ぐに受け止められる人格や、興奮している自分の感情をコントロールするタフな精神力があるからこそトップレベルで競技をするアスリートになれたのでしょうけれども、それにしても、アスリートを見ていると、20代の頃の馬鹿な自分を蹴飛ばして穴に埋めたくなるくらい恥ずかしくなります。

いや、自分と比べること自体が恥ずかしいかwwww

 

なぜアスリートに「人格」を求めるのか

それでは、自分が期待したようなセリフを言わなかったアスリートや、思った成績が出せなかったアスリートに対してはどうでしょうか。

アスリートは結果が全てなので、技術面とかメンタル面に対して意見があったりするのは仕方のないことなのかなとは思います。でもなぜか人格面で「言い訳するな」とか「コイツ負けたのにヘラヘラしてて嫌い」などのコメントが散見されます。

 

期待の選手→メディアに出ることが多くなる→コメントをたくさんの人が見て賛否両論が起こる

まぁその理屈はわからないでもないです。

そりゃテレビで不快なこと言われたら、それがどの立場の人であれ「不快だ!!」って言いたくなりますし、期待をしている人に裏切られるとがっかりします。

アスリートに対して素晴らしい技術の持ち主であると同時に人格者であることを期待しているからなんでしょうね。叩かれる声の大きさは期待の裏返しなんでしょう。

 

でも。

アスリートにしてみりゃ「なんで性格面でまでお前らを満足させなきゃあかん訳?」って言っても良い事例だと思うんですよね、これ。

この間叩かれたのぶみさんの「わたし おかあさんだから」が炎上したのは、「おかあさんはこうあるべき」って言われているみたいでイヤって人が怒ったわけでしょ? 「なんで私ばっかり我慢するの?」って感じた人が怒ったわけでしょ?

自分は何もせずに「こうあるべき」を相手に攻撃として向けると、相手が辟易するだけで良い結果は生まれません。

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ちょっと真面目な話で心理学。

アスリートを叩く方々は、逆を言えば自分の満足いく成績とセリフをアスリートに言ってもらったら、彼らを、日本をとても誇らしく思うわけです。

それは心理学における代償行為ですよね。

彼らすごい!→日本すごい!→日本人の俺たちすごい!になっているんですよ。

だから、自分が誇らしく思えない人に対しては「よく頑張った!」とか「素晴らしかった」って思えない。叩きたくなる。攻撃したくなる。

そして「攻撃する理由」を探すんです。

自分の主張が正しいということを言いたいために、自分に有利な情報を集めること。

それはバイアスが掛かっています。「確証バイアス」です。

matome.naver.jp

 

五輪の選手の挙動を叩く人は、自分の考えが正しいと言いたいがために、何らかの叩く理由を探している。特に競技に詳しくないほど、その理由は人格のほうに行ってしまう。

 「日の丸を背負っているんだから、日本人らしく謙虚に振舞え」

「税金で行っているんだから、結果を出せなかったことに反省しろ」

いやいやいやいやwwww

日の丸は選手たちに「背負ってもらっている」んです。

 

平凡な自分には到底届かない「メダル」というもの。

本来自分に全く関係のない事象だけど、ただ同じ「日本人」というだけで、自分たちも同じ熱い気持ちとか嬉しい感情を、努力しないでテレビを見るだけで分けてもらっている。

日本のために戦いたくなければ国籍だって変えてもいいのに、彼らは日本人であるだけで国の代表となって日の丸を背負ってくれているんです。

 

彼らは国の税金で行っていると言いますが、これは「自分がアスリートに対して対価を払った気分になりたいだけ」ですよね。スポンサーみたいに直接お金を出しているわけじゃない。

「家でケツかきながらテレビ見ているだけの奴が口を出すな!」という反論に、自分が正しいと答えたいがために、「国民の税金で……」と理由をつけている。

 

納税者である私たちは、確かに税金の使い道に対して文句は言えます。

しかし、もしアスリートに国のお金を掛けるのが無駄だと思うなら、結果を残せなかったアスリートではなく税金の使い道を決める国会議員に意見をすべきではないのでしょうか。

私は日本を背負ってくれる彼らに税金をかけるのは、例え結果が残せなくても日本のスポーツの振興のため、子供たちが未来を夢見るための有意義な使い方だと思っています。

子供たちが夢を語れない国になって欲しくないですから。

 

何より人を叩けば自分が叩かれる

結果を出せなかったアスリートを叩く理由を見つけるのは簡単です。

それと同じで、誰かを叩く人を叩き返すのも理由を見出すのが簡単です。

「コイツ人を叩いているから、悪い奴だから叩いていい」

 

人に銃を向ければ、相手も自分や周りの仲間が死なないために銃口を向けます。

「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」

と、ルルーシュみたいに言い放ちたいです(アニメネタですみません)。

 

私の場合は相手が銃を構えようとした瞬間、とっととホールドアップするか遠くにいるうちに逃げるかするタイプなんですけどねwww